苦労するという事

人の成長に必要な事の1つに「苦労すること」があるようだ。
戦争を1つの区切りにして日本人の思考、行動も変わってしまったようだ。

私の母の口癖の一つに 「子供だけには、私の味わった苦労をさせたくない」というのがあった。
私の母は、5人兄弟の長女で、15歳の時に母親を亡くし、いろいろ苦労したようだった。
今の時代に比べて、日本の一般的な家庭では、戦後の貧しい時代を経験している方々は、「わが子だけには、私のような苦労させたくない。」と思って、子育てのためだけに人生をささげて来たような人が多いと思う。
しかし、そのように育てられた人間は、何かが足りない。どうも人間は「苦労しないと立派になれない。」というのがあるようだ。

自分が苦労をするとそれを子孫には経験させたくないと思うのは、親心として当たり前なのだろう。
しかし、その子供は、苦労を経験できず、甘さが出てしまう。

私も今の時代の象徴の一人であるように苦労をせずに育ってしまった。それは、家族が心温かく頑張って育ててくれたからなのだが、結果として甘い考えしかできない大人になってしまった。

私のオヤジが、「若い時の苦労は買って出よ。」と機会がある毎に言っていたが、今の若者が育つ環境は、苦労なしでも、どうにかなってしまう状況なのかもしれない。つまり、平和すぎる時代なのかもしれない。
しかし、戦後60年は、そうだったかもしれないが、将来の60年後は、そうはいかないのではないだろうか。戦後の日本と今の日本、そして将来の日本は、かなり違うような気がする。

だからこそ 今、親が積極的に子供に苦労させる必要があるのかもしれない。 
子供を大切に育てるという事には、異論はないが、良い苦労は進んでさせなければならない。
しかし、良い苦労と悪い苦労は、どう違うのか?そして、同じ苦労でも 乗り越えることが出来た場合は、良い苦労であり、耐えることが出来なかった場合、質または量のどこかが原因で、悪い苦労になってしまう。とても難しい。

我家には、ノホホンと生きている子供が4人もいるが、この子たちには、苦労などという言葉は死語に近い気がする。
もし、私の仕事がここで途切れてしまったら、子供達はどうするのだろうか。そこで 初めて「苦労する」という言葉を強く感じるのだろうか。
今、私が頑張る分だけ、逆に子供達を不幸にしているような気もするが、考え過ぎだろうか。
子供には、辛い青春時代を過ごさせたくはない気持ちはあるが、ノホホンと毎日を過ごしてしまう青春時代を送らせてしまうのも何か罪悪感を感じてしまう。
私は、子供達にもっともっと積極的に人生を生きてほしいと思う。
きっと私の両親も同じように私に感じていたのだろうが、「子を持って親の恩を知る。」という言葉よりも、私は、「子を持って親の心境を知る」という感じのほうが好きである。

もし、私が、来年 ミランと契約しなかったら、できなかったら 必ず子供達は、苦労するだろう。しかし、これがプラスになるかマイナスになるのだろうか。
こんなこと考えて12年目のイタリア生活が終わり、契約更新の時となった。

今年は、皆様のおかげで 優勝もできたし、私自身もそれなりに、ほどほどに過ごした1年だった。
がんばって生きるとか、挑戦してみるという歳ではもうないが、子供が親離れしたら 何か新しい事に挑戦してみたい。
これってまさに私自身が平和ボケしている日本人の代表かもしれない。






コメント

  1. 本当にお疲れさん。
    また次のシーズンとの合間が来たね。

    私は母親のおかげで早世した父親のビハインドを越えることができた。ただし、社会人になってからは、訳のわからない様々な金銭的要請によって大変苦労させられた(今も若干続いているが)。
    難局を乗り越えて行くことに意味はあるだろうが、だからといって必ず幸せになれるとは限らない。だが、そうした経験や記憶に至る行動をとった決断には意志を持つ機会といえる。
    果たして、親がノホホンとすごせる環境を与えてくれる事が幸せなのか、子供に苦労を強いる事が幸せなのか、私にはわからない。
    自分の夢や希望が実現するチャンスが訪れたとき、あるいは家族や友人に危険が迫ったときに何ができるのか、意志を持った行動が取れる自分でありたいし、自分の子供にもそうあって欲しいと思う。

    長いシーズンも、優勝なら報われるよね。
    今後の処し方について、どれだけ力になれるかは判らないが、手伝えることがあったら何でも言って欲しい。

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  2. 子どもさんは子どもさんで人生のどこかで苦労することがありますから
    あまり気にしなくてもいいんじゃないですか。

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  3. 優勝、おめでとうございます!選手、遠藤さんを始めとするスタッフ、ファンのコラボで産まれた最大の結果ですね。あの瞬間のスタジアムの一体感。ミラニスタの一人として、体験して見たかったです。来シーズン、ヤンクロフスキとレグロッタリエ以外の選手のミラン残留が決まりましたね。遠藤さんは、まだ未定との事ですが、選手の皆さんは望まれているのではないでしょうか。
    苦労は・・・。そうですね、私も、子供の頃は、親に守られ、苦労知らずだったと思います。でも、親が苦労している事はわかっていました。でも、それを本当に理解できるようになったのは、親元を離れて生活し出してからでした。遠藤さんのお子さんも、きっと、遠藤さんのご苦労をわかっていると思います。

    これからも、ミラニスタとしてだけでなく、色々な意味でブログを楽しみにしています。私も、色々怪我をする事が多いのですが、なかなか良い先生に出会えず、出会ったと思うと、その先生が遠方に行かれてしまったして、長く見ていただく事ができません。ミランの選手は、遠藤さんのような方がいて幸せだと思います。

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