現場に戻れは、解決する

まだ トレーナーに成り立ての頃、千葉大の守屋教授の講演を聞いた時の印象が今も残っている。
それは、整形外科医で膝専門医の診断確率の話だった。
膝のスペシャリストの膝前十字靭帯(以後ACLと記す)の損傷の診断的中率は、70%だそうだ。という調査結果だった。
当時の私は、膝の専門家がこの程度なら、私に判断できるはずがないと思ったのを憶えている。
最近、我チームにもACL損傷の選手が多くなっている。チーム内で石を投げれば、ACL損傷者に当たるくらい多いのだ。
アンブロジーニ選手、前監督のアンチェロッティ―氏達は、両膝のACLを切っているし、私も、モロージ(私の同僚)も切っている。

しかし、前述したようにこの診断は、なかなかスムースにできない。

チームドクターが一生懸命に徒手検査を現場でやっているのを見ていると感じるが、外人は、日本人以上に怪我をした直後の膝周辺の筋の緊張が強く、この種の徒手検査は、あまり当てにならない。ということだ。
結局、翌日にMRI(磁気共鳴装置の検査)をして判断することになるが、これが妥当だろう。
しかも、受傷当日もそうだが、その翌日にも、腫れも無ければ、痛みを感じていない選手もいるから、全く徒手検査は、現場では役に立たないし、チームドクターにとっては、膝の専門家でも無いので、尚更、難しすぎるであろう。

むかし、よく刑事ドラマで、「犯人捜査の壁にぶつかると、現場に戻って何かを見つけ出す」というシーンがでてくるが、我々も同じで、受傷シーンを見たり、選手から詳しく聞くと80%は見当がつくと思う。

受傷シーンはすべてを語っている。刑事ドラマと全く同じだ。

ガツ―ゾ選手の受傷の際、私は、試合会場の更衣室のテレビでそのシーンを見てACLの損傷だなとすぐに感じたが、ハーフタイムでのチームドクターの診断は、はっきりしなかった。
その理由は、ドクターが行う徒手検査がすべてネガティブだったからだ。そして 彼は、後半もそのまま試合を続行した。
もし、テレビでこのシーンを見たら、何かが起こったことがわかり、選手交代をするのが当然だと判断できるはずだ。
インザーギ選手、フラミニ選手の時も私は、ガツ―ゾ選手の時と同じ状況で、いつものように会場の更衣室のテレビでその受傷シーンを見て、その後、更衣室でドクターの徒手検査を見たが、いずれもドクターは、ハッキリした判断はできていなかった。
ビデオを見ると明らかに膝が踊っている(異常な動きをしている)ので そのシーンでおおよその診断がつく。
いろんな徒手検査も大切かもしれないが、そのシーンをみれば90%は、何が起こったか分かる。
鍋島先生のような引退半ばの熟練の膝専門医の徒手検査を見ていると、自分の得意な徒手検査を一つないし2つだけしかやらず、判断できるようだが、それが出来ない人は、ビデオを見れば、判断がつくだろう。
でも そのシーンを見るとゾッとするのは、私だけかな。



ガツ―ゾ選手の損傷シーンを見たい人は 次をユーチューブで検索してください。


Gattuso infortunio/injury vs. Catania (HQ)


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