誰が言ったかではなく、何を言ったか!

こちらイタリアでは、日本代表についての話題が増えている。理由は、ザッケローニ監督である。
アジア大会で優勝したのだから当たり前ではあるが、イタリア人が海外で活躍するとこんなに話題になるのかと思うほどである。

数ヶ月前に スポニチの記事で 岡田監督が、代表を指揮している時に感じたこととして、「監督就任当時、なんでオシム前監督と同じことを言っているのにオシム前監督の言う事は聞けて、私の言う事は聞けないのかと感じた」と言っていた。
しかし、これは、どこにでもあることで、サッカー界に限らないのである。
特に、日本人は、外国人に弱いいう特徴があるから、もし外人が何か言えば、「日本ではそうしないけれど、しょうがないからやってみるか」ということで、それに従う風習がある。(その人のポジション、地位も関係しているが、それが日本人の一般的な感覚だろう。)
私は、このようなこと(日本人の私が言うと耳を傾けないのが当たり前)を嫌というほど味わっているが、先日面白いことがあったので書きたいと思う。

昨シーズンより選手が、大腿の肉離れを数回再発させ、副会長は、かなり切れていた。そして、米国にすばらしい先生(医師)がいるという情報を得たので、早速、診てもらいに行って来いとのお達しが、チームドクターに来たのである。
そこで、選手、ドクター、フィジカルコーチの3人が、その先生をはるばる米国まで訪ねて行った。
そして、その結果がとても面白かったので 笑えた。
なんと!その選手曰く、「その先生は、遠藤と同じことを言っていた」というのである。しかも最後には、鍼まで打ったということだった。
概要は、その選手の大腿の肉離れの問題は、大腿部の問題ではなく、殿筋の問題であり、大腿の筋トレをいくらやっても治らないだろうし、また 再発するだろう。むしろ、殿筋と体幹を鍛えることの方が重要であり、そのためには、まず、全く機能していない殿筋を緩めることだといい、殿筋機能不全が原因だということだった。
そして、その先生は、大腿の肉離れを起こした部分のトレーニングメニューはおろか、大腿の筋トレメニューは全く無く、体幹、殿筋のトレーニングプログラムしか処方しなかった。

今回の診察から帰って来てから数日後に、鍼なぞに全く興味のないチームドクターがいきなり、私に対して、遠藤はどのように鍼を打つのか?と聞いて来たので 何かあったのかと思いながらも、私の考え方、やり方を説明したら、ドクターは 一言、「同じだ」といったのである。
その時は、何のことか分からなかったが、前述したことを後からパト選手に聞いてすべてが分かった。

やはり、身体は バランスである。筋のトラブルは、その筋自体の問題よりも、その拮抗筋、共同筋の機能不全の方が遥かに関係しており、重要である。
私は、こんな単純なことをこの道25年でようやく分かったが、、多くの同僚は、相変わらず、大腿の筋のトラブルに対して大腿の筋トレのみに精をだしている。
私は、だから、ACミランで生きていけるのだろうから 同僚に感謝しなければならないのだろう。

それにしても、今回の件で、私は、鍼を選手に打ちやすくなったことは言うまでも無く、選手も私の言う事を真面目に聞くようになった。(副会長 ありがとう!)


コメント

  1. 初めまして。いつも興味深く拝見させております。わたしもサッカーをしており一カ月前に大腿部の肉離れをしてしまい、いまだに痛み?重さ?があり悩んでおります。助言頂けたら幸いです。失礼しました。

    返信削除
  2. 初めまして。いつも興味深く拝見させていただいております。わたしも大腿部の肉離れになってしまい悩んでおります。もう少しこのパト選手に関する情報にちなんでの情報というかお話をお聞き出来たらなと思い、コメントさせていただきました。

    返信削除
  3. これで遠藤くんの株も急上昇になりますね。

    返信削除
  4. 意味深い話ですね。結局のところ遠藤さんがもともと信頼されていたから鍼の効果もすぐに納得された感じがしました。ドクターが言ったからではなく、これで決定みたいな。アメリカでスポーツマッサージを勉強したとき、筋肉のAgonistとAntagonistとSynergistのバランスを強調していました。オランダサッカーで鍼とマッサージのコラボレーションを目指しています。イタリアとの違いでアドバイスがあれば教えていただきたいです。

    返信削除
  5. 久しぶりにお邪魔しました。何か凄い評価というか違うところから自分のやってることが伝わったというか、深さを感じます。先日、全清水のメンバーで飲み会しました。今度は貴殿が帰国されるころかと思います。kageyama

    返信削除

コメントを投稿

人気の投稿