何が重要か

先日、同級生の磯部君と話していて最もなことを言っていた。

彼は、少年サッカーの指導をしているので、私の見ている、感じているサッカーの疑問点、問題点を彼の現場サイドから率直に答えてくれるので刺激になる。まして、一緒に学生時代にサッカーに明け暮れ、両者ともサッカーで大成できず、現在もサッカーに携わっているという共通点があるので理解しやすい。

私は、イタリアサッカーを見ていて感じる第一は、勝負にこだわるにも関わらず、おおらかであるということである。

試合中のエキサイトぶりは、動物そのものであるが、これは 国民性だろう。

練習は、18歳、19歳の年齢で週4回、そして 週1試合で合計5日稼働である。練習も1時間30分、そして夏には2カ月の休みがある。

それに対しての日本は、練習に関しても高校生の練習は、授業前の朝練習、そして 放課後の練習と1日2回で 休暇は、ほとんどない。

どうしてなのだろうか。サッカーは練習量に比例して上達はしないのだろうか。

それとも タレントの問題なのだろうか。

そんな疑問を持っている私に、その答えのヒントがあった。

磯部君のこだわりはチームのコンセプトを貫くことだそうだ。

そのコンセプトとは、テクニック、インテリジェンス、ランニングの習得を追求することで、多くのことを習得させようとはせず、大半の時間をこの3つに費やし、これ以外の失敗には目をつぶることにしているそうだ。

これは、傍から見ていると 死に物狂いでやっているようには全く見えない。むしろ これで上手くなるのかと思ってしまうくらいの感じなのかもしれない。しかし、練習している子供たちの眼は輝いている。まさにイタリアは、こんな感じである。

しかし、この考え方では、日本の一般的なように全員が、走れるようになって、ボールテクニックが良くなって、戦術も身についてということはない。

選手の誰かが何かを感じ、急成長して行く。感じない選手は、成長しないのである。

日本の多くの指導者は、すべての選手を成長させるために、欠点を修復させようとしているのかもしれない。どの子供たちも、一律に伸びていくと思う。

しかし、将来の日本を代表する選手は、生まれにくい。爆発的に伸びる子供を育てるには、やはり長所をのばすこと。欠点は、眼をつぶっていること。みんな一律に育てることは、みんな一律に育たないことでもある。

指導にはいろいろなコンセンサスがあって良いと思う。

「子供たちの将来への伸びしろを最大限に開発してあげるということ」が、私は良い指導であると思う。

磯部君は、以前、清水エスパルスでスカウトをやっていたので将来性は何で分かるのか、どんなタレントが必要であるか等、いろいろ考え、追及していた時期があった。

その時いろいろ見た少年達が、現在、どうなっているかの結果も分かっている。これは、少年指導者にとって貴重な財産だ。

先日、彼は、Jの育成指導者に最もなことを言っていた。

Jクラブが選手を取る際、選手にテクニックがあってもスピードがなければ、ダメだと言い、身体がひょろひょろだとフィジカルがないからダメと言い、戦術を知らなければ、戦術が分かってないからダメと言い、じゃ、完成した選手じゃなければダメなのか?それで あなたのやる仕事は何なのか。と言ったそうである。

加えて、ある選手が、身体はひょろひょろ、体力は全くない、しかし、テクニックは 超一流という選手であるとか、テクニックはダメ、でも頭は良い、フィジカルは強い。こんな選手こそ将来の可能性がある選手であろうと言っている。

もし、このような選手が、Jの育成部の練習に加われば、いつも練習のお荷物になるのかもしれない。しかし、練習中の様子がダントツのトップかビリかのどちらかである方が、将来性はあるはずだ。

そこで、はじめて監督の技量が問われるのである。指導者次第で、選手の長所は、もっと伸びていくに違いない。

指導者は、長所を伸ばすことだけ考えていれば良い。欠点は努力して見ないようにすれば、選手は自然と欠点が修復され、周りのレベルまで追い付くのは時間の問題となるはずだ。と私は感じている。

それから もう1つおもしろいことを言っていた。

世界の育成の指導者は、年配の指導者が多い。Jリーグは若い指導者が多い。Jリーグが出来て15年もたつのにいまだ新米指導者が多すぎる、現場で指導を10年やってこれからだというときにフロント管理職へ移ってしまうのである。

これには、大きな違いがある。

育成の指導者は、経験が重要である。10年前に指導した選手が、現在、どうなっているか知っているのである。だから、選手の特徴を掴んだ育成が出来るのである。若い指導者は、戦術、技術は、教えられてもその選手の一番必要としていることを見つけ出すのが難しいのである。

なかなかよく見ているね!

コメント

  1. 磯部くん・・・すごいね!

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  2. うーん、そうだよね。
    特徴を見いだして、そこを伸ばしてあげる。これって当たり前なんだけど凄い大事だと思うし、もっと大切なことは、他のことに目をつぶれるかってこと。
    いうのは簡単だけど、なかなかできないんだなー、オレには。特に目をつぶる方が・・・

    何事にも成長させるには我慢が必要だってことかな??

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  3. :ことサッカー: についてですが

    Iさんに様々な質問をしてきました。その答えの妥当性はもちろんですが、驚くのは細部に明確な理由をもって実践していることでした。

    本当に些細でくだらなく見えることなんです。

    でも、些細でくだらないと思っていたのがはずかしくなるような深い理由をそこに見ることがあります。

    Iさんは中学時代サッカー部で、「鬼ごっこ」や「缶けり」の練習に情熱を傾けていなければJリーガーだったでしょうね。

    「…だけど友則は天才だった」とIさんはよく言ってます。本人には言わないんでしょうね。

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  4. いつも楽しいお話見せてもらってます。サクライ君と一杯やりながら、ここのお題で盛り上がっています。
    先日、うちの息子とほった先生のお孫さんが東高の同級生でしかも同じクラスだということがわかり家中びっくりしてしまいました。10人ほど家に遊びに来た時わかりました。なぜか凄くうれしかったです。kageyama

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  5. いいはなし↑参考にしよっ!!

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